気候危機打開 日本共産党が「2030戦略」を発表

2021年9月3日金曜日

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日本共産党の志位和夫委員長は1日、党本部で記者会見し、2030年度までに二酸化炭素(CO2)を50~60%削減するという目標を掲げた「気候危機を打開する日本共産党の2030戦略」を発表しました。会見には、田村智子政策委員長と笠井亮原発・気候変動・エネルギー問題対策委員会責任者が同席しました。

記者会見で政策を発表する志位和夫委員長=9月1日、党本部

志位氏は冒頭、同戦略の意義について、「2030年までの10年足らずの間に、全世界のCO2排出を半分近くまで削減できるかどうかに人類の未来がかかっている」と強調し、「総選挙政策の第1弾として発表しました。総選挙でも大きく問われる問題になります」とのべました。

「国連気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)の報告書は、30年までに大気中への温室効果ガス(大半はCO2)の排出を10年比で45%削減し、50年までに実質ゼロを達成できないと、世界の平均気温の上昇を産業革命前に比して1・5度までに抑え込むことはできないと明らかにしています。IPCCは8月、「人間の影響が温暖化させてきたのはもはや疑う余地はない」との見解を示しています。

志位氏は「日本共産党の2030戦略」は、「IPCCの報告に示された世界の科学的知見、国内の環境団体、専門家の探究と提言を踏まえ、党として半年間をかけて練り上げたもの」だと強調。「総選挙の大争点に掲げて訴えていきたい」と表明しました。

非常事態

「戦略」は第1章で、世界的規模で気候危機と呼ぶべき非常事態が起こっているもとで、CO2削減への思い切った緊急行動が求められていると提起しています。この中で、新型コロナウイルス、エボラ出血熱、エイズなど新しい感染症の出現の背景にも、「森林破壊をはじめとした環境破壊、地球温暖化がある」と指摘。志位氏は会見で、「感染症のパンデミックとの関係でも解決がまったなしの課題です」と強調。日本における豪雨災害の甚大化などにふれ、「日本に住む私たちにとっても死活的な緊急課題です」と指摘しました。

政権の対応

「戦略」は第2章で、この問題への菅政権の対応について、(1)最も肝心な30年までの温室効果ガス排出の削減目標が低すぎる(2)石炭火力の新増設・輸出を推進している(3)原発依存(4)実用化のメドのたたない「新技術」が前提―の4点から批判。志位氏は「菅自公政権が掲げる『2050年カーボンゼロ』は『口先だけ』というほかないものです」と強調しました。

30年度50~60%削減

「戦略」は第3章で、日本共産党の提案として、「省エネルギーと再生可能エネルギーを組み合わせて実行することで、CO2を30年度までに50~60%削減する。エネルギー消費を4割減らし、再生可能エネルギーで電力の50%をまかなえば50~60%削減は可能」という目標と道筋を提起しています。

志位氏は、研究グループや専門家の試算を示しながら「大規模に省エネルギー、再生可能エネルギーを推進する可能性と条件は大いにある」と力を込めました。

省エネと再エネで大改革を

「戦略」は第4章で「脱炭素、省エネ、再エネをすすめる社会システムの大改革」として、(1) 電力 (2) 産業(3) 運輸・交通(4) 都市・住宅(5) 自治体―の5分野についての具体的な政策を提案しています。志位氏は産業分野の改革として、「CO2排出量が大きい6業界、200程度の大規模事業所に、CO2削減目標と計画、実施状況の公表などを『協定』として政府と締結することを義務化することを提案したい」と強調しました。

貧困・格差是正と一体で

「戦略」は第5章で、脱炭素と貧困・格差是正を二本柱にした経済・社会改革で、持続可能な成長が実現できるという道筋を示しました。

このなかで志位氏は、脱炭素、省エネ、再エネの推進は、「生活水準の悪化や耐乏生活を強いるものでも、経済の悪化や停滞をもたらすものではありません」と強調。研究グループの試算を示し、年間254万人の雇用が新たに創出され、GDPを累積205兆円押し上げ、「持続可能な成長という希望ある道を開くものです」と力説しました。

さらに、「気候危機打開の取り組みをすすめるためには、財界いいなりの政治を変え、石炭火力利益共同体、原発利益共同体の抵抗を排除しなければなりません」と指摘し、「とりわけ90年代から顕著になった新自由主義の政治の根本的な切り替えが必要」と強調。「気候危機の打開は、貧困と格差をただすことと一体です」とし、雇用とくらしを抜本的に向上させる「『公正な移行』を推進してこそ達成できます」とのべました。

さらに「戦略」は、脱炭素に向けた政策の推進に必要な財源についても解明しています。

気候危機を打開する日本共産党の2030戦略(ポイント)

1、気候危機とよぶべき非常事態―CO2削減への思い切った緊急行動が求められている

2、「口先だけ」の菅・自公政権―四つの問題点

3、日本共産党の提案――省エネと再エネで、30年度までに50~60%削減

4、脱炭素、省エネ・再エネをすすめる社会システムの大改革を

5、脱炭素と貧困・格差是正を二本柱にした経済・社会改革で、持続可能な成長を

 気候危機打開へ――いまの政治を変えるために力を合わせよう

(「しんぶん赤旗」 2021年9月2日掲載)

※政策全文はこちらから👉 気候危機を打開する日本共産党の2030戦略(全文)

志位和夫委員長の会見(2021年9月1日)







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伊藤りち子プロフィール

1961年 札幌市白石区生まれ

1982年 函館大谷女子短大付設幼稚教諭保母養成所卒業 保育士として11年白石区で勤務

1997年 日本共産党白石区議員事務所長

2003年 札幌市議会議員初当選 市議として4期16年、団長も歴任

現在  日本共産党北海道委員 白石・厚別地区委員会副委員長

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